「なぜ新規事業は成功しないのか」(大江建著)のメソッドを使って新規事業のコンサルティングをしています。

2011.03.07「Technological Entrepreneurship Workshop」開催レポート

2011年04月03日

(株)総合コンサルティングオアシス
エグゼクティブコンサルタント 大江 建

「Technological Entrepreneurship Workshop」は、2011年3月7日と8日の2日間にわたり、早稲田大学で開催しました。
このワークショップは早稲田大学日米研究機構グローバルビジネスグループと実験経営学研究所が共催したものです。
このワークショップの目的は、Global Niche Strategyの策定と、そのための世界規模の支援システム構築の可能性に関する実験結果の発表です。
そのために、早稲田大学をはじめとする4つの大学の大学院生チームと指導教授を招聘しました。
今回の取り組みは、早稲田大学先進理工学研究科の渡邊峯生氏が考案した技術シード “CoCoNatch” (社会コミュニケーションロボット)のグローバル戦略を策定することを課題としました。
この課題について4大学が昨年10月から3月の6ヶ月間かけてそれぞれの地域の事業戦略を構築しました。
オランダから参加のAngelica Mader教授が率いるUniversity of Twente チームはEU戦略を、アメリカからはTucker Marion教授が率いるNortheastern大学のチームがアメリカ戦略を策定しました。
また、マレーシアから参加のTih Hong教授が率いるNational University of Malaysia チームはASEAN戦略を策定し、日本からは、私が率いる早稲田大学のチームが日本戦略を策定しました。
これらの4つの地域戦略を持ち寄り Born Global 戦略を策定することに関連して、3つのテーマで参加者が議論しました。
1つ目のテーマは、「Born Globalな会社になるための条件と評価方法」です。
「国際経験ある人材」、「国際共通化製品」、「ニッチ製品」、「協力的国際資金源」、「情報ネットワーク」の5つの評価軸が選択されました。
2つ目のテーマは、「Born Globalネットワークをどのように有効に活用するか」です。
このためには、共通のプラットフォームの必要性が議論され、市場分析などの共通化などの必要性も議論されました。
3つ目は「グロ-バル起業家の育成にとって今回の実験は有効であったか」について議論しました。
「アイデアの創出面で非常に有効な方法であった」という評価をもらいました。
参加した学生からは「他の市場のニーズについて学習できる」という意見が出され、ここから異文化理解につながる効果もあるという意見が教授連や学生の両方から出ました。
また、より有効な教育手段としては、二つのステップに分けて行う必要があるのではないかと云う結論となりました。
一つはアイデア創造の段階と、二つめは商品仕様を固定して、同じ仮説の基に事業計画を策定する段階に分けるという方法です。
本ワークショップには延べ140名程度が参加し、うち70%が企業関係、30%が大学関係者でした。
企業の方々との活発な意見交換が行われ、企業の関心の高さが伺えました。
今回は実験でしたが、これを新規事業の促進のための一つの方法論として実務に応用することが、大変に有効であることが検証されたと考えています。
Born Global 商品の開発だけでなく、Born ASEAN 商品の開発、Born Japan 商品の開発なども可能です。
また人材研修の点でも異文化理解研修とかグローバル人材の育成プログラムとして利用できる可能性が大いにあります。