「なぜ新規事業は成功しないのか」(大江建著)のメソッドを使って新規事業のコンサルティングをしています。

グローバル起業家がASEANから生まれています

2011年03月21日

みなさん、はじめまして。大江建です。
今回からASEANの起業活動についてのレポートを定期的にお届けいたします。
私は、約13年間早稲田大学大学院ビジネススクールで新規事業論や起業論を教えてきました。
研究テーマとして日本やASEAN地域(Association of Southeast Asian Nations,東南アジア諸国連合)での中小企業の活生化の問題に取り組んでいます。
ビジネススクールでは「中小企業の現状を分析したうえで、成長戦略を策定し活性化の支援をする」という課題を学生に与え現場での体験学習方法「Consulting Based Learning」を採用してきました。
この課題の目的は、「Learning from helping」の考え方をもとに、学生が本や講義で学習した理論を実際に中小企業が抱える問題に応用しながら、企業を支援することによって、学生達は中小企業の経営と起業家マインドについて理解することにあります。
これらの学習は、実際に学生が起業する時の参考になることでしょう。
この「Consulting Based Learning」による起業家教育を早稲田大学のビジネススクールで墨田区の中小企業に対して実施したところ、大変良い結果を生みました。
その結果をふまえ、2003年からこの学習方法をASEANの大学に普及させることを始めています。
その活動を経済産業省やASEAN事務局の支援のもとに、「COBLAS」(Consulting Based Learning for ASEAN SMEs)を基礎にした、ASEAN共通の起業家教育カリキュラムに提案したところ、採用され現在に至っています。
この実体験型起業家教育は、従来から行われていた、座学型起業家教育に変わるものとして注目を浴びております。
このCOBLASプログラムは、タイから始まり、カンボジア、ラオス、マレーシア、インドネシア、ベトナム、ミヤンマー、ブルネイの8カ国で実施し、今後フィリピンとシンガポールで実施する予定です。
マレーシアではマレーシア国立大学が中心になって教科書を出版し、マレーシア国内の大学に普及しつつあります。
また、インドネシアのブラビジャヤ大学は、全学生に起業家教育を実施しています。
 さらに「起業家大学」宣言をして、マイクロファイナンスの仕組みをCOBLASに組み込むことにより、学生が策定した中小零細企業の成長戦略を実行するための資金を貸し出しています。
カンボジアの国立マネジメント大学でも2011年から4年制の起業家教育専門課程を開始しました。
このような各国での進んでいるCOBLAS プログラムのネットワークが中心になってASEAN起業家教育学会が設立される機運が高まっています。
2015年のASEANの経済統合が現実化してくる中で、グローバルに活躍できる起業家がカンボジアをはじめ、ASEAN各国から生まれています。