「なぜ新規事業は成功しないのか」(大江建著)のメソッドを使って新規事業のコンサルティングをしています。

「実験経営学講座」を大阪・梅田の「梅田MAG」で実施

2012年11月25日

「実験経営学講座」を大阪・梅田の「梅田MAG」で実施
 
■ハイブリッド型人材育成を目的とした講座
 2012年4月から月に一度、梅田MAG経営戦略セミナー(主催:阪神電気鉄道)の一環として、実験経営学のセミナーを大阪・梅田のハービスOSAKAで実施しています。
 「梅田MAG」は、大阪梅田地区の活性化に向けた街づくりへの取組みの一環という位置づけで、人材育成・起業支援・異業種交流の拠点となるビジネス創造コミュニティーセンターとして開設されました。 
 この「経営戦略セミナー」は、次世代を彩る知性・感性豊かな人材が自発的に集い、「未来」を創造する場所を提供して、ASEAN諸国からの留学生とのネットワークを活かした国際的な人材・知識交流の促進や、経営戦略とデザインの創造的融合によるハイブリッド型人材の育成を目的とした講座になっています。
 
■セミナーの3つの特長
 このセミナーは次のような3つの特長があります。まず第一に、ビジネスモデルを重要視して教えることです。第二に、大阪の中小企業のアジア進出計画策定を課題としているということです。第三に、受講者である社会人とアジアからの留学生がグループを組み、課題に取り組むといういうことです。
 
■ビジネス・モデル・キャンバスと5つの分析ツール
 まず、第一の特長であるビジネスモデルについてですが、前半の4月から8月までは、ビジネスモデルの理論を中心に学習しました。後半の9月から3月にはその理論を応用してアジア進出計画や事業計画を作成しているところです。ビジネス・モデル・キャンバス(Osterwalder, A. & Pigneur, Y. ,2010)を基本的な教材として利用しています。
 ビジネス・モデル・キャンバスでは9項目をビジネスモデルの基本要素としてまとめています。そして、その一つ一つの項目を深く議論するために、5つの分析ツールを活用します。顧客価値と顧客セグメントを捉えるために、「アトリビュート分析」を用います。チャネルと顧客関係の項目は、「消費チェーン分析」で考えを深めます。収益の流れとコストの構造については、「逆損益計算書」で議論します。重要な業務と重要な資産と提携先の項目については、「利益源泉図」を活用します。最後にビジネス・モデル・キャンバス上に簡単な言葉で要点をまとめるか、ピクトグラムでまとめます。最後に、この事業の成功の可能性について、「BMO法」を用い評価します。
 新規事業を検討するときに、一番重要になるのは思い付きや必要性から浮かび上がってくるビジネス・アイデアです。面白い事業になるかどうかは、ビジネス・アイデアをビジネスモデルに転換して考えることが必要です。このビジネスモデルが出来上がったところで、「BMO法」などで、事業性を評価して、事業化の成功率が高そうだと判断したら、ビジネスプランを書いていきます。
 ビジネスモデルは戦略で、ビジネスプランは戦術です。大学の講義や、起業や新規事業のためのセミナーなどでは、残念ながら、ビジネスプラン、特に、財務諸表のような形式的な部分ばかりが強調されており、戦略であるビジネスモデルがいい加減になっているのではないでしょうか。
(当社で実施する「アイデア事業化のための研修例」はこちら
 
■留学生からの情報提供に基づき計画策定
 先述のように、当講座の第2、第3の特長として、大阪の中小企業のアジア進出計画を、受講者であるビジネスマンらがアジア人留学生らとグループワークを通じて作成するという点があります。今回取り組んでいるテーマは、「カスタムメードの下着事業」の中国進出、「日本の味事業」の中国進出、「メガソーラ事業」のタイ進出、「ベトナム料理」の大阪進出、などです。
 現在、課題に取り組むにあたり、それぞれの国の留学生が母国語のデータベースなどから情報を収集したり、現地の知人・友人からリアルタイムの写真を入手したりして、検討材料として提供してくれています。このように、日本語や英語では手に入らないような情報に基づいて計画が策定できるというのが、留学生と共同作業する大きな意義のひとつです。
 
このような実践的人材育成プログラムにご興味のある方は、こちらまでお問い合わせください。
(担当:石黒)